産後に抜け毛が増えて「こんなに抜けて大丈夫?」と不安になっていませんか。
実は、産後の抜け毛は多くのママが経験する、一時的な現象です。
主な原因はホルモンバランスの変化によるもので、多くの場合、時間とともに自然に落ち着いていきます。ただし、睡眠不足や栄養不足などの生活習慣が、抜け毛を助長してしまうことも…。
この記事では、産後の抜け毛が起こる原因や時期別の経過、今日からできるセルフケアの方法を解説します。
産後抜け毛はどのくらいの人が経験する?
東京科学大学の女性診療科が実施した調査によると、出産経験者の約9割が、何らかの産後の脱毛を体験しているという報告があります。
つまり、産後の抜け毛は決して珍しいものではありません。
産後の抜け毛は、医学的には一時的なヘアサイクルの乱れによる「休止期脱毛」に分類されます。
髪の毛は「成長期→退行期→休止期」というサイクルを繰り返しながら生え変わっています。 しかし、産後はこのサイクルが乱れるため抜け毛が増えやすくなってしまうのです。
抜け毛の程度には個人差があり、頭全体が脱毛する人や前髪だけが気になる人など、さまざまです。
産後の抜け毛は、病気ではなく産後の自然な変化のひとつです。時間の経過とともに回復するため、過度に心配する必要はありません。
産後に抜け毛が増える要因

産後の抜け毛は、さまざまな要因が重なって起こると考えられています。
- ホルモンバランスの変化
- 睡眠不足
- ストレス
- 栄養状態の変化
なかでも、産後の抜け毛はホルモンの急激な変化が大きく影響していると考えられてきました。
しかし、実際には原因を一つに特定することが難しく、ホルモン値と脱毛の程度を示す研究も現時点ではありません。
ここからは、産後の抜け毛に関わる主な要因について、詳しく解説していきます。
ホルモンバランスの変化
産後の抜け毛は、妊娠・出産に関係する「エストロゲン」という女性ホルモンの急激な変化が要因の一つだと言われています。
妊娠中はエストロゲンの分泌が増え、髪の成長期が長く保たれるため、本来なら抜けるはずの髪も抜けにくくなっています。
しかし、出産するとエストロゲンが急激に減少して、それまで成長期にあった多くの髪が、いっせいに休止期へと移行します。
髪は休止期に入ると成長が止まり、やがて抜け落ちます。通常、休止期は約2〜3か月程度続くため、抜けた後すぐに新しい髪が増えにくく、一時的に髪のボリュームが減った状態が続くのです。

また、エストロゲンは授乳によっても分泌が抑えられるため、髪が生えにくいと感じることがあります。
ただし、抜け毛が気になるからといって、母乳育児をやめる必要はありません。
母乳育児には多くのメリットがあり、産後の抜け毛は、ホルモン変化による一時的な体の反応と考えられています。
睡眠不足やストレス
産後は赤ちゃんのお世話で睡眠が十分にとれず、からだの疲れがたまりやすい時期です。こうした状態が続くことは、抜け毛を助長する原因になることがあります。
また、緊張感や不安といったこころの状態も、産後脱毛と関連する要因のひとつと考えられています。抜け毛への悩みがストレスとなり、さらに抜け毛が気になるという悪循環に陥ることもあるでしょう。
ただし、産後による生活リズムの乱れは避けられない部分もあります。睡眠不足やストレスは「間接的な要因のひとつ」と理解し、無理のない範囲で休息を取りましょう。
栄養不足や産後ダイエット
栄養状態の変化や体重の変動も、産後の抜け毛に影響する要因のひとつです。
産後は赤ちゃんのお世話で食事が不規則になりやすく、栄養も偏りがちです。
特に母乳育児をしていると、母乳を作り出すために通常より多くの栄養が必要になるため、髪を作るための栄養が不足しやすくなります。
また、産後に無理なダイエットは、からだの回復を遅らせてしまい、抜け毛が長引く原因です。
からだの回復を優先しつつ、無理のない範囲でバランスのいい食事を心がけてみましょう。
産後の抜け毛はいつからいつまで?

産後の抜け毛はすぐに始まるわけではなく「数ヵ月経ってから目立ちはじめ、1年以内に落ち着くケースが多い」とされます。
産後脱毛について調べた研究では、抜け毛は平均して産後2.9ヵ月頃から始まり、5.1ヵ月頃にピークを迎え、8.1ヵ月頃に落ち着くと報告されています。
ただし、抜け毛の期間や量には個人差があるため、あくまで目安として考えておきましょう。
産後2~4ヵ月頃から始まる
出産から2〜4ヵ月頃は、産後の抜け毛が始まることが多いとされる時期です。
出産後、少し経ってから抜け毛が目立ち始めるのは、髪の毛が休止期に入ってから実際に抜け落ちるまでに、一定の時間がかかるためです。
髪の毛を洗っているときに抜け毛が増えたと感じたり、床や枕に落ちている髪の毛に気づくかもしれません。
産後4~6ヵ月頃にピークを迎える
産後4〜6ヵ月頃は、妊娠中に抜けなかった髪が一斉に休止期に入り、まとめて抜け落ちる時期です。
シャンプーをしたときや髪をとかしたときに大量の抜け毛に驚いたり、分け目や生え際が薄くなったように感じることがあります。
あまりに多い抜け毛に不安を感じる方も少なくありませんが、この時期がピークであることが多く、徐々に落ち着いていきます。
産後6ヵ月〜1年ほどで自然に落ち着く
産後6ヵ月〜1年ほど経つと、ホルモンバランスが妊娠前の状態に戻り、髪の毛が生え変わるサイクルも徐々に正常化していきます。
ホルモンバランスの戻りにともない、抜け毛は自然に落ち着いてくることが多く、抜けた部分からは新しい髪が生えはじめ、髪のボリュームも少しずつ戻ってきます。
からだの回復とともに髪も整っていくと考え、焦らず様子を見ましょう。
産後の抜け毛の対策方法とは?

産後の抜け毛は一時的な変化であり、自然に回復していくことがほとんどです。
その上で、からだの回復を助ける目的として、日常生活でできるケアを無理のない範囲で意識してみましょう。
バランスと栄養を意識した食事をとる
バランスのいい食事が摂れていると、髪の成長に必要な栄養が行き渡り、産後の抜け毛の回復をサポートできます。
特に、髪の材料となるタンパク質・鉄分・亜鉛・ビタミンB群などを意識して摂ることが大切です。
これらの栄養素を含む、主な食品例は以下のとおりです。
| 栄養素 | 主な食品例 |
| タンパク質 | 肉・魚・卵・大豆製品 |
| 鉄分 | レバー・ほうれん草・ひじき |
| 亜鉛 | 牡蠣・あさり・大豆製品 |
とはいえ、産後は食事の準備が大変なもの…。
必ずしも自炊する必要はないので、市販のお惣菜なども取り入れつつ、栄養バランスを気にしてみるといいでしょう。
母乳育児の場合は、母乳を作り出すために特にたくさんの栄養が必要です。
1日3食しっかり食べることを意識し、納豆や卵など、手軽な食品から取り入れてみるのもおすすめです。
頭皮を清潔に保つ
頭皮を清潔に保つことで、毛穴環境が整い、健康な髪が育ちやすくなります。
抜け毛が気になると洗髪を控えたり怖く感じる方もいますが、洗髪そのものによって抜け毛が増えるわけではありません。
自分に合ったシャンプーを使用し、頭皮が乾燥しすぎたり、逆に皮脂が過剰にならないようこころがけましょう。
できるだけ睡眠を確保する
睡眠をできるだけ確保することで、からだの回復やホルモンバランスが整い、産後の抜け毛が長引きにくくなります。
とはいえ、産後は生活リズムが乱れやすく、十分な睡眠時間を確保するのが難しい時期でもあります。
まとまった睡眠がとれない場合は、赤ちゃんが寝ているときに一緒に休むなど、細切れでも無理のない範囲で休息をとるようにしましょう。
目を瞑ったり横になったりするだけでも、からだとこころを休める助けになります。
ストレスをためないよう周囲のサポートを活用する
抜け毛を気にしすぎること自体が、ストレスの原因になることもあります。
産後の抜け毛は一時的な症状であることが多いため、必要以上に悩みすぎないことも大切です。
また、産後は心身ともに負担がかかりやすいため、育児や家事をひとりで抱え込まないようにしましょう。
周囲のサポートを活用できると、ストレスを軽減しやすくなります。産婦人科・助産院が提供する産後ケアサービスを利用するのもひとつの方法です。
産後の抜け毛がひどい場合の受診目安
産後の抜け毛は自然に落ち着くことが多いとされます。しかし、産後1年以上続く場合は、次のような原因も考えられます。
- 女性に多いタイプの脱毛
- 円形に髪が抜ける脱毛
- 抜け毛が長く続くタイプの脱毛
- 体内のホルモンが関係する脱毛
次のような場合は、皮膚科で相談しましょう。
- 産後1年以上経っても抜け毛が続く
- 円形に髪が抜ける
- 頭皮にかゆみ、赤み、痛みがある
産後1年未満でも「少し心配だな」と感じる場合は受診を検討してください。
産後の抜け毛に関して、よくある質問
ここからは、産後の抜け毛に関して、よく寄せられる質問に回答していきます。
産後に抜け毛がない人に特徴はありますか?
産後に抜け毛がない人に、明確な共通点があるわけではありません。
抜け毛の感じ方や程度には個人差があり、産後の脱毛は多くの人が経験するものです。
ただし、睡眠の質が良い、栄養がしっかり取れている、こころが安定している場合は、抜け毛が比較的少ないこともあります。
母乳育児と産後の抜け毛は関係しますか?
母乳育児そのものが、産後の抜け毛の直接的な原因になるわけではありません。
ただし、授乳期間が長いと、抜け毛が起こりやすくなることがあります。
授乳中は、母乳を作るために関わる「プロラクチン」の作用で、髪を育てる作用がある「エストロゲン」の分泌が抑えられ、髪が抜けやすくなることがあります。
ただし、これはホルモンが正常に働いている証拠でもあり、抜け毛を理由に母乳育児をやめる必要はありません。
母乳育児に不安がある場合は、出産した産婦人科の母乳外来や、地域の助産院、市区町村の母子保健窓口などで相談しましょう。
産後の抜け毛は一時的な生理現象、セルフケアで様子を見守ろう
産後の抜け毛は、多くのママが経験する一時的な生理現象です。主な原因はホルモンバランスの変化とされますが、睡眠不足や栄養不足、ストレスも影響します。
ほとんどの場合、産後の抜け毛は6ヵ月〜1年ほどで自然に回復します。
過度に心配せず、セルフケアを続けながら様子を見守りましょう。
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