【助産師監修】産後ケアとは？ サポート内容や注意点、利用する手順について解説

産後、からだが回復しないまま育児が始まり疲れていませんか？

「授乳がうまくいかない」「この育児で合っているのかな…」と悩む人もいるでしょう。

産後ケアは、育児への不安や悩みを抱えるママを助産師や看護師などの専門家がサポートしてくれる制度です。心身のケアや育児支援だけでなく、赤ちゃんを預けてゆっくり休息を取ることもできます。

ただし、利用を考えているなら事前に知っておきたい注意点も。

産後ケア事業とは、産後のママと赤ちゃんをサポートするサービスのことです。自治体が運営しており、ママのこころやからだの回復を促し、慣れない育児を支援することが目的のサービスです。

助産師や看護師を中心とした専門スタッフから、授乳指導や育児相談、心身のケアを受けられます。

対象となるのは、主に産後1年以内のすべてのママです。「からだがツラくないと使えないのかな」「家族が手伝ってくれているから対象外だろう」と思われがちですが、体調やサポートの有無に関係なく利用できます。

睡眠不足で疲れている場合や育児の悩みを抱える場合はもちろん、少し息抜きしたいときや誰かと話したいときにも気兼ねなく活用してみましょう。

産後ケアには各自治体の助成金制度が設けられており自己負担額を抑えて利用でき、住民税非課税世帯では、無料または減額されるケースもあります。

助成を受けるためには、ほとんどの地域で事前申請が必要です。手続き方法は地域ごとに異なるため、利用を検討している場合はしっかり確認しておきましょう。

産後ケアホテルは、そのほとんどが民間企業が運営するサービスです。食事やアメニティが充実しており、ホテルのような空間で助産師による授乳サポートや育児相談が受けられます。

一般的に費用は自己負担ですが、施設が自治体と提携していれば助成対象になるケースもあります。利用したい施設がある場合は、自治体のホームページで産後ケア事業の対象施設に含まれているかをチェックするといいでしょう。

産後ケアでは、助産師をはじめとする専門家から子育てに関する相談や、授乳についてのアドバイスを受けられます。

ここでは基本的なサービス内容をご紹介しますので「このサポートを受けてみたいな」などと想像しながら、読み進めてみてください。

産後はホルモンバランスの変化から、気分の落ち込みやイライラを感じやすい時期です。産後ケアでは育児への不安やゆらぎやすいこころに、助産師や保健師が寄り添ってくれます。

育児の悩みから世間話までさまざまな対話を重ねることで、自然とこころが軽くなったというママもいます。

＜主なこころのケア＞

• 助産師との対話による気持ちの整理
• 育児の不安や悩みの相談
• マタニティーブルーや産後うつなどの早期発見

家族とスムーズに協力できるためのヒントが得られたり、地域の子育てサービスを紹介してもらったりすることもでき、宿泊型・通所型ではママ同士の交流の場を設けている施設もあります。

同じ悩みを持つママと話すことで「自分だけじゃない」と感じられ、気持ちがラクになることも。リフレッシュする機会として利用するのもいいでしょう。

特にはじめての育児では「うまく寝かしつけられない…」「抱っこの仕方は合っている？」と悩みを抱えやすいもの。

助産師などの専門家に相談することで、気になっていたことが整理され、安心して育児に向き合えるようになります。

＜主な育児サポート＞

• 抱き方、おむつ交換、沐浴、寝かしつけなどの指導
• 赤ちゃんの体重測定・発育状況の確認
• 健康状態のチェック

授乳は多くのママが直面する悩みのひとつで、おっぱいの張りや痛み、赤ちゃんがうまく吸ってくれないなど、抱える悩みは人それぞれです。出産直後は順調でも、退院後に思うようにいかなくなることもあります。

産後ケアでは、助産師がママと赤ちゃんに合わせた授乳アドバイスやおっぱいケアをしてくれます。

＜主な授乳相談の内容＞

• おっぱいの張りや痛みのケア
• 母乳の出が悪い場合の対処法
• 赤ちゃんの吸い付き方の確認
• 正しい授乳姿勢や抱き方の指導
• 乳首トラブルへのケア方法

産後ケアにはたくさんのメリットがありますが、利用にあたって知っておきたい注意点もあります。

「妊娠中から知っておきたかった…」というママも多いため、事前にデメリットや注意点を把握しておきましょう。

多くの場合、産後ケア事業を利用するには事前申請が必要です。審査には時間がかかるため、産後に必要性を感じてから申請するとすぐ利用できないこともあります。

また、産後は体調がすぐれなかったり育児で手一杯になったりと、申請手続きそのものが負担になります。

「必要なときに申請すればいい」と思うかもしれませんが、実は申請期限が定められている自治体もあり、期間を過ぎると助成を受けられません。

実際に利用したママからは「早く申請すればよかった…」と後悔する声も多く聞かれるため、利用するかどうか分からない人も、念のため妊娠中に手続きしておくといいでしょう。

産後ケアといっても、施設によって提供されるサービス内容や運営方針は異なります。「休息を重視する」「育児支援を積極的に行う」などケアの方針はさまざまです。

ケアの方針を理解せずに利用してしまった人からは「睡眠不足を解消したくて利用したのに、夜は赤ちゃんを預けられずあまり休めなかった」という声もあります。

産後ケア事業は利用できる期間・回数に上限があります。

一般的には産後1年未満まで利用でき、回数の上限は自治体ごとに異なります。

＜利用回数の目安＞

• 宿泊型：7日間程度
• 通所型・訪問型：5〜7回程度

回数を使い切れずに期限を迎えてしまうケースもあります。

「もっと早く利用しておけばよかった」と後悔する声もあるため、体調や家庭の状況に合わせて早めにスケジュールを立てておくといいでしょう。

多くの場合、産後ケア事業で助成を受けるには事前に自治体への申請が必要です。

必要な手続きや流れは自治体によって異なりますが、ここでは一般的な流れをご紹介します。

産後ケアについて、よくある質問にお答えします。

産後ケアが気になる方や、利用するか迷っている方は参考にしてみてください。

利用するタイミングに迷ったら、産後2週間ごろに利用してみるといいでしょう。退院からしばらく経ち、赤ちゃんのお世話や授乳に不安を感じ始める頃です。育児疲れを感じ、こころのバランスを崩しやすい時期でもあります。

通所型では、きょうだいが付き添いできる施設もあります。パートナーと一緒に育児指導を受けられる場合もあり、沐浴やミルクのあげ方などを夫婦で学ぶと育児分担がしやすくなるでしょう。

宿泊型の場合、家族も一緒に泊まれるかどうかは施設によって異なります。

産後ケアは、産後のママにとっての心強いサポートです。「使うかわからないし…」と利用を迷っている場合も、もし必要になったときにすぐ使えるよう事前の手続きだけしておくとスムーズです。

これからの育児生活、不安になったり戸惑ったりするかもしれませんが、ひとりで悩まずプロの力も頼っていきましょう。