産後にイライラが抑えられずツラく感じていませんか?
家族に感情をぶつけてしまい、自分を責めてしまう人もいるでしょう。
産後はホルモンバランスの変化やストレスによって、多くのママがこころの不安定さに悩まされます。
そこで、この記事では産後イライラする原因と、旦那さんや上の子にイライラしたときの対処法を解説します。
産後のこころの経過やイライラを抑える工夫も紹介しますので、少しでも気持ちをラクにするためのヒントにしてください。
産後にイライラする理由

産後のイライラの主な原因は、ホルモンバランスの変化とストレスの蓄積です。
また、慣れない育児により睡眠不足となり休息できない日々が続くことで、より一層こころが揺らぎやすくなります。
ホルモンバランスの変化
産後のイライラの主な原因といわれているのが、ホルモンバランスの急激な変化です。
妊娠中は胎盤などから「エストロゲン」や「プロゲステロン」という女性ホルモンが分泌されます。女性ホルモンにはお腹の赤ちゃんを育てるだけでなく、気分を安定させる役割もあります。
しかし、赤ちゃんを出産すると胎盤が体外に出ます。胎盤から放出されていた女性ホルモンが一気に減少するため、精神的な不調を生じやすくなってしまうのです。

また産後はしばらく月経が再開しないため、さらにホルモンバランスが整いにくくなり不安定な状態が続きます。
産後のイライラは決して珍しいことではありません。
イライラするのは「産後の体のしくみ」として生じる自然な反応です。
ストレス
生活の変化によるストレスの蓄積も産後のイライラに影響します。特に睡眠不足は余裕をうばい、感情が不安定になる原因です。
産後は体力が回復しないうちに育児がはじまります。2〜3時間おきの授乳で生活リズムが乱れる上に、入浴や買い物も赤ちゃんと一緒。
自分のことに手が回らなくなっても「母親だから頑張らなきゃ」と気負ってしまい、疲れはたまる一方です。
こころも体も休まる時間がないまま慌ただしい日々を過ごす結果、ストレスがたまりイライラしやすくなります。
産後のイライラはいつからいつまで?
多くの場合、イライラは産後1〜3ヵ月頃にピークを迎え次第に落ち着いていきます。
赤ちゃんは生後3ヵ月頃まで昼夜の区別がつかず、ママは頻繁な夜間授乳によって疲れがたまっていきます。また産後3ヵ月頃まではママ自身のホルモンバランスの崩れや生活の変化、睡眠不足も重なる時期です。
生後3ヵ月を過ぎてママのホルモンバランスや赤ちゃんの睡眠リズムが整いはじめると、イライラは徐々にやわらぐケースが多いでしょう。
ただし、産後のイライラには個人差があります。ホルモンバランスの回復スピードや周囲のサポート体制によって、年以上続くことも考えられます。
【時期別】産後のこころの変化
産後のこころは、時期によってゆれ動きます。こころの変化を知っておくことで、自分の感じている気持ちを整理できるかもしれません。
出産直後から1年間のこころの変化を、時期ごとに見ていきましょう。
出産当日〜産後1ヵ月
産後1ヵ月までは、こころも体も不安定になりやすい時期です。出産のダメージが残る中で赤ちゃんのお世話を頑張りすぎると、こころと体がアンバランスになります。
産後2週間ごろまでに起こるこころの不調は「マタニティブルー」とも呼ばれます。マタニティブルーはホルモンバランスの急激な変化によって起こり、イライラしたり理由もなく涙が出たりします。
産後のママのうち30〜50%が経験するものであり、通常は自然にやわらぎます。
マタニティブルーを過度に心配する必要はありませんが、症状が続くと「産後うつ」に移行する可能性もあるため、不安な気持ちは抱え込まず身近な人に相談しましょう。
産後1ヵ月〜産後3ヵ月
産後1〜3ヵ月は、体の不調を感じながらも育児を優先することになるため、こころが疲れやすい時期です。精神的に安定しない状態が続くことで、産後うつを発症しやすい時期でもあります。
睡眠不足が続き、昼夜問わず赤ちゃんのペースに合わせた生活に「いつまで続くのだろう…」と不安を感じる人もいます。
母乳がうまくいかず、理想と現実のギャップに情けなさを感じるママも少なくありません。
産後4ヵ月〜産後12ヵ月
赤ちゃんとの生活リズムが整いはじめ、こころに少しずつ余裕が生まれる時期です。
しかし、この時期になっても自分のことは後回しにしがち。十分に休まず無理を重ねることで、風邪を引きやすくなる、肩こりや腰痛に悩まされるなど、体の不調が慢性化していきます。
体の不調が限界に達すると、体が思うように動かない自分や協力してくれない家族にイライラしてしまうことがあります。
産後のイライラが抑えられないときの対処法

イライラするときの対処法を整理しておくと冷静になるきっかけをつくれるかもしれません。
家族との関係をラクにするために、できることから試してみましょう。
上の子にイライラするとき
上の子にイライラするときは、スキンシップを意識しましょう。
スキンシップをすると「オキシトシン」という愛情ホルモンが分泌され、ママの中で安心感が生まれます。オキシトシンにはストレスを軽減する効果もあります。
上の子が反抗してイライラするときこそ、抱きしめたり褒めたりする機会を増やしてみてください。お互いに穏やかな気持ちとなり、ママはイライラが緩和し、上の子も反抗心が落ち着いていくでしょう。
上の子に対してイライラする自分を責めないことも大切です。一時的な感情として優しく受けとめてください。
旦那さんにイライラするとき
旦那さんにイライラするときはコミュニケーションを意識しましょう。
ママは出産や授乳など、赤ちゃんとの直接的なかかわりを通して親の自覚が芽生えます。しかし、パパはすぐに実感を持てません。親としての意識の差を感じることで、ママは何かと不満が募りやすくなるでしょう。
しかし、パパへの不満を放置してしまうと夫婦関係が悪化し「産後クライシス」という状態になることもあります。
旦那さんにイライラするときは、次の3つを心がけてみてください。
正直な気持ちを言葉で伝える
人の気持ちは言葉にしないと伝わりにくいものです。自分の気持ちや考えは察してもらうのではなく相手に言葉で伝えましょう。夫婦のすれ違いを防ぐためには、会話によって伝える姿勢が大切です。
手伝ってほしいことを具体的に伝えると、パパも協力しやすくなります。
こまめに連絡をとる
父親としての気持ちが離れないよう、里帰り中でもこまめに連絡をとりましょう。
写真や動画とともに赤ちゃんの様子を伝え、赤ちゃんとパパをつなぐ工夫を意識してみてください。
感謝やねぎらいの言葉を伝え合う
お互いの頑張りを認め合い、思いやりの気持ちを言葉にして伝えましょう。「ありがとう」「助かったよ」のひと言があるだけで気持ちがやわらぎます。
小さな声かけの積み重ねが夫婦の関係を支え、協力し合う気持ちにつながっていきます。
産後のイライラを抑えるためにできること

まずは睡眠時間やリフレッシュする時間を大切にしましょう。悩みや不安はひとりで抱え込まず、周囲のサポートも受けてみてください。
産後のイライラを抑えるためにできることは、以下のとおりです。
睡眠時間を確保する
睡眠はこころの健康に深く関わっています。数日に1回は十分に眠れる日を確保してください。
体が疲れている上に睡眠不足が続くと、ネガティブな気持ちが強まります。
母乳育児をしているママは、搾乳して夜中の授乳を任せる日をつくってみましょう。また母乳にこだわりすぎず、ミルクをとりいれるのも選択肢の一つです。
育児の悩みや不安を相談する
悩みや不安はひとりで抱え込まず、周りの人に相談しましょう。誰かに気持ちを聞いてもらえるだけで心が軽くなることもあります。
授乳で困っている場合は、近くの助産院に相談してみてください。 母乳育児のプロである助産師から母乳やミルクの指導を受けられるだけなく、育児全般の相談も可能です。
産後の助産院の利用は、産後ケアとして市町村による助成金が出る場合もあります。気になる人は、住んでいる市町村のホームページを確認してみてください。
周りを頼り、自分の負担を減らす
「家事や育児はママの仕事」と頑張りすぎず、周囲の助けを借りましょう。ひとりで背負うほど、こころも体も疲れがたまっていきます。
パパやご両親に協力してもらい、リラックスできる時間を意識的につくることが大切です。
家族に頼るのが難しい場合は外部サービスの利用もおすすめです。ときには家事代行に洗濯や料理をお願いしたり、ベビーシッターに赤ちゃんのお世話を任せたりするのもよいでしょう。
市町村が提供する一時預かりサービスを活用すれば、新生児の赤ちゃんを預けることも可能です。たとえ短時間でも自分の時間が持てると、きっと気持ちに余裕が生まれます。
リフレッシュできる時間を作る
リフレッシュするために、宿泊型の産後ケアを利用するのもひとつの方法です。
助産院や病院に泊まり赤ちゃんのお世話を手伝ってもらうことで、ママは体とこころを休める時間がつくれます。助産師に育児の相談もできるため、悩みや不安を解消できる機会にもなるでしょう。
施設によっては宿泊による産後ケアだけでなく、日帰りや自宅訪問にも対応しています。
自分に合うサービスで、育児のプロに頼ることも検討してみてください。
産後のイライラで病院を受診するタイミング
長期にわたってイライラし改善が見られない場合は受診を検討しましょう。
マタニティブルーならイライラは2週間ほどで自然に治りますが、長期間続く場合は産後うつ病の可能性があります。
マタニティブルーと産後うつ病の違いは以下のとおりです。
状態 | マタニティブルー | 産後うつ病 |
症状が出るタイミング | 産後数日~2週間目の間 | 産後2~3週間目以降 |
続く期間 | 数日から2週間程度 | 2週間以上 |
あらわれる症状 | 涙もろさ、不安、 イライラなど | 気分の落ち込み、イライラ、 不眠、食欲低下、自責感など |
対応方法 | ホルモンバランスの変化による 一時的な症状のため、 休息と睡眠をとり様子をみる | こころの病気であるため、 治療が必要 |
産後うつ病は産後3ヵ月以内に発症することが多く、気分の落ち込みや不眠などがあらわれます。
「母親としてダメだ」といった自分を責める気持ちも、産後うつ病の症状の一つです。
産後うつ病は自己判断が難しいため、長期にわたってイライラの改善がない場合や産後うつかもと思う場合は、精神科・心療内科などの医療機関を受診してください。
まずは出産した病院に相談するとよいでしょう。
産後のイライラは悪いことではない
産後のイライラはホルモンバランスやストレスによって起こるものであり、自然なこころの反応です。決して自分を責める必要はありません。
つい感情を家族にぶつけてしまい罪悪感を抱くこともあるかもしれませんが、ひとりで抱え込まないことが大切です。
旦那さんとはコミュニケーションを、上の子とはスキンシップを大切にしながら、お互いの気持ちを共有しましょう。
また、産後ケアや家事代行を利用したり、育児の悩みを助産院に相談したりするのも方法のひとつです。
周りの助けを借りながら息抜きしつつ、産後のイライラを乗り越えてくださいね。
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